酸
硫酸
2.5%硫酸(0.26 mol/L) H2SO4
市販の濃硫酸(約95%、密度1.83 g/cm³ ) 1.5 cm³を水100cm³に少しずつ加える。
濃硫酸を水で希釈すると激しく発熱する。大量の水に少しずつ濃硫酸を加えながらガラス棒で絶えず撹拌しながら希釈する。
硝酸
2.5% 硝酸(0.40 mol/L) HNO3
市販の濃硝酸(約70%、密度1.41 g/cm³ ) 2.6 cm³ を水100cm³ に少しずつ加える。
【保存方法】褐色の試薬瓶に移し暗所で保存する。
硝酸の試薬びん内は、発生した二酸化窒素などの気体のため加圧状態になっている。瓶の栓を開けるときは、気体や飛沫が目に入らないようにする。 また、発生した気体には刺激臭と毒性があるので吸わないように換気がよいところで取り扱う。
劇薬であり、うすい硝酸が皮膚につくとキサントプロテイン反応により黄色くなるので、ゴム手袋をして取り扱う。
濃硝酸を水で希釈すると発熱する。
塩酸
5%塩酸(1.4 mol/L)HCI
市販の濃塩酸(約35%、密度1.18 g/cm³ )14.1 cm³ を、水100cm³に少しずつ加える。
2.5%塩酸 (0.69 mol/L)HCI
市販の濃塩酸 6.5cm³ を水100cm³ に少しずつ加える。または、5%塩酸50cm³に水 51.5cm³ を加える。
5%塩酸は濃塩酸を8倍に希釈したものとして使用する。
濃塩酸の試薬びん内は発生した塩化水素のため加圧状態になっている。 びんの栓を開けるときは、気体や飛沫が目に入らないようにする。また、発生した気体には刺激臭と毒性があるので吸わないように換気がよいところで取り扱う。
酢酸
5 %酢酸(0.84 mol/L)CH3COOH
市販の酢酸(氷酢酸、約99%、密度 1.05g/cm³) 4.9cm³を水100cm³に少しずつ加える。
4%酢酸(0.67 mol/L)CH3COOH
市販の酢酸(氷酢酸)3.9cm³を水100cm³に加える。
2.5%酢酸(0.42 mol/L) CH3COOH
市販の酢酸(氷酢酸)2.5cm³を水100cm³に加える。
酢酸の試薬びん内は、発生した気体のため加圧状態になっている。びんの栓を開けるときは、気体や飛沫が目に入らないようにする。また、発生した気体には刺激臭があるので、吸わないように換気がよいところで取り扱う。
アルカリ
2.5%水酸化カリウム水溶液 (0.46 mol/L)KOH
市販の水酸化カリウム(純度約 86%)3.0gを水99.3cm³に溶解させる。
【保存方法】ポリエチレン瓶に移して保存する。
水酸化カリウムには潮解性があるので操作は素早く行う。また、保存時には試薬びんのふたをしっかり閉めておく。
水に溶解させるとき発熱するので注意する。また、刺激臭と毒性のあるミ スト(微液滴)が発生するので、 吸わないように換気がよいところで取り扱う。
2.5%水酸化ナトリウム ム水溶液(0.64mol/L)NaOH
市販の水酸化ナトリウム(純度約96%)2.6gを、水97.5cm³に溶解する。
【保存方法】ポリエチレン瓶に移して保存する。
水酸化ナトリウムには潮解性があるので、操作は素早く行う。また、保存時には試薬びんのふたをしっかり閉めておく。
水に溶解させるとき発熱するので注意する。また、刺激臭と毒性のあるミ スト(微液滴)が発生するので、吸わないように換気がよいところで取り扱う。
2.5% 水酸化バリウム水溶液(0.15mol/L) Ba(OH)2
市販の水酸化バリウム八水和物4.6gを、水95.4cm³に溶解させる。
【保存方法】ポリエチレン瓶に移して保存する。
有毒なので取り扱いに注意する。 また廃液は回収する。
2.5%アンモニア水(1.5mol/L) NH3
市販のアンモニア水(約28%、指度0.90g/cm)10.9cmを、水100cm³に溶解させる。
【保存方法】ポリエチレン瓶に移し冷蔵庫または冷所で保存する。
市販のアンモニア水の試薬びん内は、発生したアンモニアのため加圧状態になっている。瓶の栓を開けるとき は、気体や飛沫が目に入らないようにする。また、換気がよいところで取り扱う。
指示薬
BTB溶液(ブロモチモ ールブルー溶液)
BTB粉末0.1~1gを90~95%エタノール20 cm³に溶解させ、これに水を加えて全体を100cm³にする。使用時は、この液を水で10倍に希釈し、0.1%水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ加えて、 弱アルカリ性(青緑色~青色)にし てから使う。pH7前後の水に加えたとき、緑色を示すように調製する。
【保存方法】褐色の試薬瓶に移し暗所で保存する。
酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で 青色を示す。変色域は、pH6.0~7.6である。中性または弱アルカリ性にした BTB溶液に二酸化炭素が溶解すると、炭酸ができて液が酸性になり黄色に変色する。呼気をふきこんで中性または酸性にした液は、二酸化炭素を失うと青色に戻る。この性質は、呼吸や光合成の実験で利用できる。
フェノールフタレイン溶液
フェノールフタレイン0.1~1.0gを95%エタノール90cm³に溶解させ、これに水を加えて全体を100cm³にする。
酸性·中性では無色であるが、アルカリ性では赤色を示す。変色域は pH 8.0~ 19.8である。フェノールフタレインは無色の結晶で、水にはごくわずかしか溶解しないが温アルコールには容易に溶解する。酸性·中性の水溶液にフェノールフタレイン溶液を多く加えると、溶けきれなくなったフェノールフタレインが析出し液が白くにごるため、2~3滴程度使用する。
1%硝酸銀水溶液 (0.059mol/L)AgNO3
硝酸銀 1.0gを水99.0cm³に溶解させる。または、1mol/L 硝酸銀水溶液5.9cm³を水94.1cm³に撹拌しながら加える。0.1 mol/L 硝酸銀水溶液 59.0cm³を水41.0cm³に加えてもよい。
【保存方法】褐色の試薬瓶に移して保存する。
劇薬であり硝酸銀水溶液が皮膚につくと黒色になるので、ゴム手袋をして取り扱う。特に噴霧して使用する場合は、吸いこんだり目に入ったりしないように注意する。また、廃棄の際は塩化ナトリウム水溶液を加えて塩化銀を析出させた後、ろ過をしてから塩化銀とろ液を回収する。
石灰水(水酸化カルシウム水溶液)Ca(OH)2
水酸化カルシウム(消石灰)50g を水500cm³に加えてよく振る。 しばらく静置して、その上澄み液を使用する。なお、飽和水溶液の濃度は、約0.17%(約0.023 mol/L)である。
【保存方法】試薬瓶に移しゴム栓 をして保存する。ガラス栓は使用しない。
石灰水に二酸化炭素を吹き込むと炭酸カルシウムCaCO3の白色沈殿ができて液が白くにごる。この反応により二酸化炭素を検出できる。
Ca(OH)2+CO2 → CaCO3+H2O
液が白く濁った後も二酸化炭素をふきこみ続けると、炭酸水素カルシウムを生じて沈殿が溶解する。
CaCO3+CO2+H2O → Ca(HCO3)2
石灰水は比較的強いアルカリ性を示すため、目に入らないように安全眼鏡を着用する。
ヨウ素溶液(ヨウ索ヨウ化カリウム溶液)
ヨウ化カリウム1gとヨウ素0.3 gを水250cm³に溶解させる。ヨウ素は溶解しにくいので、ス ターラーを使うとよい。
【保存方法】褐色の試薬瓶に移し暗所で保存する。
デンプンと反応させると青紫色を示す。やや分解が進んだデンプンは赤紫色を示す。この色は加熱すると消え、冷やすと再び現れる。
ベネジクト溶液
硫酸銅(II)五水和物1.7g、クエン酸ナトリウム 17.3g、無水炭酸ナトリウム 10.0gを水に溶解させ、全体を100 cm³にする。
【保存方法】試薬瓶に移しゴム栓をして保存する。
還元糖(ブドウ糖や麦芽糖など)を含む液 にベネジクト溶液を1~2滴加えて加熱すると、液中の還元糖の量により、緑→ 黄→橙→赤と色が変化する。加熱後の液を静置すると、黄~赤褐色の沈殿が生じる。これにより還元糖を検出できる。
染色液
酢酸カーミン溶液
市販の酢酸(氷酢酸、約99%)45cm³と水55cm³をビーカーに入れ、加熱しながらカーミン粉末1gを加える。沸騰したら火を止め、さびた鉄くぎを2、3本入れ、冷めてからろ過する。
【保存方法】褐色の試薬瓶に移し暗所で保存する。
細胞の核・染色体・細胞質を赤く染めるのに使用する。スライドガラスにのせた観察物に酢酸カーミン溶液を1滴たらし、2~3分後にカバーガラスをかけて観察する。カバーガラスをかける前に、ガスバーナーの弱火で少しあたためると、 観察物がよく染まる。
酢酸オルセイン溶液
市販の酢酸(氷酢酸、約99%)45cm³を温めながら、オルセイン粉末1gを加えて溶解させる。この液を冷やした後、水55cm³を加えてろ過する。
【保存方法】褐色の試薬瓶に移し暗所で保存する。
細胞の核・染色体を赤紫色に染めるのに使用する。使用する際の手順は酢酸カー ミン溶液と同様である。染色力は酢酸カ ーミン溶液より強い。
酢酸ダーリア溶液
30%酢酸100cm³に、ダーリアバイオレット0.5gを溶解させる。
【保存方法】褐色の試薬瓶に移し、暗所で保存する。
細胞の核・染色体を青紫色に染めるのに使用する。染まり方が鮮やかで観察しやすい。
カルノア溶液
99.5%エタノール30cm³に市販の酢酸(氷酢酸、約99%) 10cm³を加えて混合する。保存液にする場合は、使用直前にこの液を水で5倍に希釈して使用する。
細胞分裂の観察の際に、根の先端を約1時間カルノア溶液につけて水洗いして使うと染色体がはっきりと見えるようになる。保存液は、根・茎などの固定と保存に便利である。
メチレンブルー溶液
メチレンブルー 0.3gを95%エタノール30cm³に溶解させ、これに水を加えて全体を100cm³にする。
【保存方法】褐色の試薬瓶に移し、 暗所で保存する。
細胞の核、血球、植物の茎の切片、花粉、 酵母菌、菌糸、細菌などを青く染めるのに使用する。酵母菌や細菌の観察では、これらをスライドガラスにうすくのばすようにして塗りつけ、メチレンブルー 液を1滴たらして、ガスバーナーを弱火にして乾くまであたためる。その後、水をたらして観察する。